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フランチェスコの

イタリア食材トリビア:

バルサミコ酢

日本でも近所のスーパーで簡単に手に入るようになった「バルサミコ酢」。
ところが、値段はピンからキリまであります。

本当に同じ商品なのでしょうか。


答えは「YES」であり「NO」でもあります。

まずは本物のご紹介から。

「Aceto Balsamico Tradizionaleアチェート・バルサミコ・トラディツィオナーレ」(伝統的なバルサミコ酢)というのは、ラベルに表示されている赤いDOPマーク(Denominazione di Origine Protetta 保護原産地呼称)が目印。イタリアでさえ、スーパーなどで流通していない商品です。

DOPマーク(Denominazione di Origine Protetta 保護原産地呼称)。EUでは特許のような、食料品を評価と保護する制度がある。その最高基準であるDOPは認定地域由来の材料のみを使用し、認定された製造・加工・調整も全て同じ認定地域にて行われることが条件に、保護されている食品呼称を使って商品を市販することが許可される。

EUで最も多いDOP認定食料品を誇るのはイタリア。

フランス語ではAOC、スペイン語では同じくDOP、英語ではPDOという。

原料はモデナとレッジョ・エミリアという町の周辺で栽培されたトレッビアーノやランブルスコというブドウ品種のムスト100%。このブドウ・ムストというのは、12~24時間に30度程度の低温で火を入れながら、濃縮されたブドウの果肉と皮(ちなみに、ワイン製造に使われるムストは、加熱せずにそのまま発酵させているものです)。添加物は一切使われていません。製法は複雑で、クリ、オーク、クワ、サクラなどの樽の中で最低12年間かけてじっくり熟成・濃縮させます。24年ものもあり、18世紀の種を使って作っているものもあります。

1リットルのバルサミコ酢を作るのに、約23キロのブドウが必要だと言われています。
また、瓶は100ミリリットルのものに限る、という厳しい規定があります。その値段も、12年ものなら1リットルあたり、400-600ユーロもする高級品(日本の価格はもちろん、この価格の3倍ほどになります。)上物の価格は天井知らず!

ムストを加熱して濃縮させる習慣は古代エジプトからあり、ローマ帝国時代でもムストとヴィネガーをブレンドした調味料が存在していたといいます。

また、今のバルサミコ酢と同じものであったかどうかは定かではありませんが、モデナで作られた香ばしい「酢」の現存する最古の記録は11世紀にまで遡ります。16世紀以降、モデナを統治したエステ家の公爵が宮殿の屋根裏で作っていた「公爵の酢」をヨーロッパ各地の王室に貴重なお土産として贈っていたと言う文献も多数残っています。そして、1747年のエステ家の公文にAceto Balsamicoという言葉が初めて登場します。

しかし、実はモデナでは貴族から一般家庭まで自宅の屋根裏でこのような酢がひそかに作られていたのも事実です。モデナで今もバルサミコ酢の製造を続けている最古のアチェタイア(酢蔵)は1605年創業です。

それでは、日本を含む世界のスーパーで普段私たちが見かけるイタリア産の「バルサミコ酢」とはどのような製品なのでしょうか?
イタリア産のバルサミコ酢であれば、瓶のラベルに「Aceto Balsamico di Modena アチェート・バルサミコ・ディ・モデナ」(モデナのバルサミコ酢)の表記と青いIGPマーク(Indicazione Geografica Protetta 保護地理的表示)があります。実は、この「モデナのバルサミコ酢」は、高級品の「伝統的なバルサミコ酢」の安価量産型で、1980年代から流通し始めました。(青いIGPマークがなければ、全くの別物です。)

今回パルマで買ったモデナのバルサミコ酢。ラベルには青いIGPマーク(Indicazione Geografica Protetta 保護地理的表示)が表示されている。DOPと違って、素材が由来する認定地域の定義が広くなり、

製造工程の一部さえ認定地域で行えれば規定に準ずるものとされる。

「伝統的なバルサミコ酢」の原料規定がムスト100%であるのに対し、この「モデナのバルサミコ酢」原料の規定は緩やかで配合の幅も広いです。
ムストは20~90%。ワインヴィネガーは10~80%。
そして、添加物は許可されており、特に色の濃さと甘味を作り出すキャラメルは2%まで足すことができます。最低熟成期間として必要なのは2か月間だけです。

それでも、美味しいものはもちろんあります。それを見分けるために、ラベルを読みましょう。日本同様、EUの規定に従い、ラベルには原料の多いものからの記載が義務付けられていますので、ムストが先に書いてあり、キャラメルの入っていないものを選びましょう。また、液体の濃さも重要。あまりサラサラだと良い味は期待できないかもしれません。

裏のラベルも確認しましょう。原料表示のところ、ムストが先で、次にワインヴィネガー。キャラメルは入っていないの3点が確認のポイントです。

*印の注釈は、それぞれの原料に、ワインにも入っている酸化防止剤が含まれていることを記載しています。

日本で購入したおいしかったバルサミコ酢。これのラベルにも、ムストは原料のトップに記載され、

酸化防止剤以外添加物が入っていないことがわかります。ただ、残念ながら輸入されなくなってきた商品。

さて、長くなりましたが、今回ご紹介するのは、昨年の12月にパルマで購入した地元名店推薦のバルサミコ酢。酢蔵は1891年創立のAcetaia Dodi。どろっとして、酸味と甘みのバランスが絶妙です。

使い方は、イチゴや桃、アイスクリームやサラダ、肉料理にかけるなど色々ですが、今回はおなじくパルマで買ってきたパルミジャーノ・レッジャーノにかけて頂きました。
ワインは、パルマのあるエミリア・ロマーニャ州のスパークリング、マルヴァジーアがお薦めです。日本でもお手頃価格で手に入るワインですのでぜひ試してみてください。

今はコロナウィルス感染拡大のためお休みしていますが、拙宅で小さなイタリア料理教室を開いています。

www.casa-brusa.com

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